ひのみね療護園 自治会憲章

採択 平成13年4月9日
発効 平成13年6月1日

 ひのみね療護園自治会は、その会員に代って次のとおり宣言する。
 私たちは、ひのみね療護園を一つの小さな社会であると認識し、基本的人権と人間の価値及び尊厳に関する信念を改めて確認し、義務の尊重を維持する条件を確立し、いっそう大きな自由の中で、職員に依存することなく、対立することなく、協働して社会的進歩と生活水準の向上を促進するために、私たちの努力を結集することに決定した。


第1章 基本的人権

第1条 人格の尊重
 私たちは、独立した社会人として、それぞれの人権及び人格を尊重される
《職員やボランティアとの関係はどんなときでも常に対等であるはずです。たとえ知的な障害があろうとも言葉が通じにくくとも、それぞれが一人の社会人として認められ、年齢に応じた対応を受けることを望みます》

第2条 文化的な生活
 私たちは、独立した社会人として、健全で文化的な社会生活を営む権利を有する
《まず、「療護園は生活の場である」ことを再認識します。すると、現在の園生活が一般社会と比べていかにアブノーマルかが見えてきます。ただ食べて排泄して寝るだけでなく、公共の福祉に反しない限り、できるだけ自由で文化的な社会生活を行えるよう努力するとともに、施設として可能な限りの支援を望みます。》

第3条 プライバシーの権利
 私たちは、独立した社会人として、プライバシーを侵害されない
《「療護園は生活の場である」以上、本来、全室個室あるいはきちんと間仕切りされてしかるべき所です。しかし、身体上もしくは生活の便宜上カーテンのみの仕切りになっているわけですから、せめて開閉時の声掛けぐらいは最低限度行ってほしいものです》

第4条 生活設計の権利
 私たちは、独立した社会人として、自らの生活を設計する権利を有する
《生活設計というのは一日の時間割から人生設計までそのすべてを含みます。本来、起床・摂食・排泄・就寝等の生活時間や厳密に言えば献立さえもすべて自分で決定する権利があるはずです。介護の便宜上、ある程度統一された生活も仕方ありませんが、集団生活の中で他人に迷惑のかからない程度の自由は許されるべきです。
 また、人生設計においても、親や職員あるいは行政にゆだねるのではなく、自らが設計していくんだという強い意志を持ちたいものです》

第5条 自己選択・自己決定の権利
 私たちは、独立した社会人として、何事も自ら選択し決定する権利を有する。また、自ら決定した事柄に対してすべての責任を負う
《自己選択・自己決定は社会人として当然の権利です。ですが何でもかんでも自分勝手に振る舞っていいというわけではありません。いろんな人の話や忠告に耳を傾けた上で、最終的に決定するのが自分ということです。そして、自分が決定したことに対して責任を負うことも社会人として当然です》

第6条 失敗する権利
 私たちは、独立した社会人として、何事にも挑戦し、失敗する権利を有する
《日本人には、一度失敗した者に対して悪いレッテルを貼ってしまう傾向があります。ですから失敗を恐れて挑戦しない者も多く、特に障害者の場合、周りからの説得が強く、あきらめざるを得ない状況に陥りがちです。障害者に社会経験が乏しい原因の一つは、このあたりにあるように思います。失敗は悪だと考えず、失敗によって人は成長すると認識し、たとえ失敗しても次また挑戦できる環境が作られることを望みます》

第7条 命令及び説教の禁止
 私たちは、独立した社会人として、何人からも命令や必要以上の説教をされない
《「利用者と職員は対等」「自己決定の権利」などの観点から、私たちは誰からも半強制的な命令や説教をされることを望みません。特に知的な障害のある者や言語障害の重い者に対しての命令行為は許せません。利用者同士であっても同じように気を付けるべきことです》

第8条 知る権利
 私たちは、独立した社会人として、自らの病状やケアプラン、及び施設の経理状況等について知る権利を有する
《自己選択をするにはいろいろな情報が必要です。そして当然の権利として、他人のプライバシーを侵害しない範囲で自分に関係する情報等について知る権利があるわけです。ただ、情報が開示されても、私たちにそれを分析し利用できる能力がなければ何にもなりません。私たちにもある程度の学習が必要です》

第9条 請願権
 私たちは、独立した社会人として、平穏に請願する権利を有し、請願したためにいかなる差別待遇も受けない
《施設や職員に対する要望や苦情は、感情的な対立関係にならないためにもどんどん申し出ていくべきです。そして、苦情を申し出たために無視されたり小言を言われたりすることは絶対にあってはなりません》

第10条 団結権・団体交渉権
 私たちは、独立した社会人として、団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利を有する
《利用者一人一人の力は非常に小さなものです。よって自治会として団結し、団体で交渉する権利があります。交渉相手は、当該施設だけでなく行政や他の事業所の場合もあります》


第2章 会員の義務及び心得

第11条 人格の尊重
 私たちは、独立した社会人として、他人の人権及び人格を尊重しなければならない
《自分の人格を認めてほしければ他人の人格も尊重しなければいけません。たとえ知的な障害があろうとも言葉が通じにくくとも、その人を一人の社会人として認め、年齢に応じた対応をしていくべきです。言葉遣いに気を付けるのが基本。仰々しくする必要はありませんが、あまりに馬鹿にした言葉は慎むべきです》

第12条 助言や忠告の拝聴
 私たちは、独立した社会人として、他人の助言や忠告にきちんと耳を傾けるべきである
《自己決定を行うにはいろいろな情報が必要です。他人の助言や忠告は貴重な情報の一つ。真摯な態度で聞くべきです》

第13条 状況判断
 私たちは、独立した社会人として、周りの状況をきちんと判断して行動するべきである
《例えば、いくら「利用者主体の介護」といっても状況によりなかなか難しいときもあります。そういう周りの状況を判断して行動できる能力も私たちには必要です》

第14条 意思の伝達
 私たちは、独立した社会人として、自らの主張を相手にきちんと伝えるべきである
《特に介助してもらうときなどは、介助してほしいことを正確に伝える必要があります。たとえ言語障害が重くても自分の意志を伝える方法を見つけ正確に伝わるよう努力する必要があります。自分の意志を伝えることは、これから最も重要になってくるはずです》

第15条 感謝の表明
 私たちは、独立した社会人として、感謝の気持ちはきちんと表現するべきである
《「ありがとう」の一言がどれだけ人間関係を良くしてくれるか。このことを肝に銘じ、たとえ言葉に出来なくても表情などで表現するように努めましょう》

第16条 自己の分析
 私たちは、独立した社会人として、自らについてきちんと把握しておくべきである
《自分の障害の度合いや健康状態そして経済状態など、自分のことはすべてにおいて把握しておくべきです。そうしないと的確な選択が出来ません》

第17条 自己の管理
 私たちは、独立した社会人として、健康及び身の安全について自らきちんと管理するべきである
《いくら医師や看護婦が近くにいるとしても最終的に自分の体を管理するのは自分です。何事も職員や家族に依存することなく、自分の体は自分で管理できるように努力するべきです》

第18条 私物の管理
 私たちは、独立した社会人として、自らの所有物についてきちんと管理するべきである
《私物の管理は当然自分で行うべきことです。たとえ自分自身では整理することが出来ず他人に手伝ってもらう場合でも、指示をするのは必ず自分であるべきです。そして、どこに何があるのかきちんと把握しておくべきです》

第19条 身だしなみの管理
 私たちは、独立した社会人として、TPOに合わせて身だしなみをきちんと整えるべきである
《身だしなみを整えるのは社会人として当然のことです。服装・整髪・洗顔・ひげ剃り・化粧、いつ誰が訪ねてきてもいいように毎日きちんと整えておくべきです》

第20条 視野の拡張
 私たちは、独立した社会人として、園内外の事柄に興味を持ち、視野を広げるための行動を起こすべきである
《園外に出ることの少ない私たちは、とかく社会経験が未熟になりがちです。また、ある一定の世界しか知らないために自分中心主義に陥る傾向があります。施設という枠にこもらず、地域やもっと大きな世界に目を向け、視野を広げると共に社会経験の未熟さを補う努力が必要です》

第21条 自治会活動への参加
 私たちは、自治会の会員として、生活の水準を向上させるために自治会活動に自らの出来る範囲で参加しなければならない
《娯楽を含む自分たちの生活水準は自分たちで高めていくように働きかけていくのが筋というものです。そしてそのための組織が自治会であり様々な委員会活動です。それらの活動に自分の出来る範囲で参加することは、自治会員としての当然の義務であると心得るべきです。行事などに強制的に参加しなさいということではありません》

第22条 権利と義務のバランス
 私たちは、独立した社会人として、これらの権利及び義務をバランスよく行使し、平和で活力のある雰囲気作りに努めなければならない
《権利ばかりを主張していると必ず対立が起こります。義務だけを守って小さく生きていくのもどうかと思います。私たちにどんな権利や義務があるのか、また、心得ておかなければいけないことは何なのかを的確に把握し、バランス良く使い分けることで、私たちと関わりのあるすべての人とお互いに信頼しあえる関係を作り上げることが出来れば、「ひのみね療護園」という小さな社会は私たちの理想郷になるはずです。といってもそんなに身構える必要はありません。肩肘張らずに楽しく暮らしていきましょう》


第3章 サービス水準の維持と向上の要望

第23条 現サービスの明文化
 私たちは、現在行われているサービスを具体的に明文化し、サービス内容を明確ににすることを要望する
《入浴や排泄介助といった基本的なサービスから、おやつ・飲酒・買い物・外出・クラブ活動・行事といった様々なサービスが、現在よりも質が低下せずにこれからもずっと続けられるとは限りません。まずは現在どんなサービスが行われているか具体的にすべて明確にすることが必要だと思います》

第24条 サービスの最低ライン
 私たちは、現在行われているサービスを最低ラインと認識し、いかなる場合であろうともサービスの質・量ともに低下することがないよう要望する
《平成15年からの基礎構造改革が実施されると、現在措置費として支給されている事業費が支援費支給方式というのになり、もしかすると減ってしまう可能性もあります。もしそうなれば今よりサービスが低下してしまうことも考えられます。ですから、できるだけそうならないよう努力してもらうことを要求しておきます》

第25条 サービスの質の向上
 私たちは、現在行われているサービスを最低ラインとし、サービスの質を少しでも向上させていくことを要望する
《サービスの質は向上した方がいいに決まっています。そのためなら私たちはいかなる協力も惜しみません》

第26条 個別性の尊重
 私たちは、利用者一人一人に応じたサービスやケアプランの提供を要望する。また、利用者によってはセルフマネージメントができる環境が整えられることを要望する
《平等とは、すべての利用者に同じサービスが与えられることではありません。利用者一人一人のニーズを明確に把握し、それに応じたサービスやケアプランが提供されることを望みます。また、自分自身でケアマネージメントが可能だと思われる者に対しては、それができるように支援していくことを望みます》


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